米国とロシアのサイバー戦争が、IT企業を巻き込んで拡大している。米国は、ロシア製ウイルス対策ソフトの排除に動く。一方、米IT企業に対してロシアが「踏み絵」を迫った事実が明らかになった。

シリコンバレー支局 中田 敦
1998年、日経BP社入社。日経コンピュータやITproの記者として、クラウドやビッグデータ、人工知能を担当。2015年4月からシリコンバレー支局長。
<b>HPEをはじめとする米IT大手が、米ロのサイバー戦争に 翻弄されている</b>
HPEをはじめとする米IT大手が、米ロのサイバー戦争に 翻弄されている

 ロシア政府のハッカーが、ロシアのカスペルスキー研究所が開発したウイルス対策ソフトを介して米国家安全保障局(NSA)職員のパソコンにアクセスし、機密情報を盗み出した──。10月5日、米メディアが一斉に報じた。

 イスラエル政府が2014年にカスペルスキーの社内ネットワークに侵入した際に、ロシア政府のハッカーが同社製品を介して米国政府にサイバー攻撃を仕掛けた痕跡を発見したという。イスラエル政府がロシア企業をサイバー攻撃したのを引き金に、ロシア政府による米政府へのサイバー攻撃が見つかった構図だ。

 報道に先立つ17年9月、米政府機関がカスペルスキー製品を使用するのを禁止する法案を米上院が可決している。10月5日の報道は、この法律が必要となる背景を世に知らしめるためのものだった可能性が高い。

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