自動車業界で急激に進む電動化の動きが、航空業界にも広がってきた。欧米の航空会社が電気モーターを動力にする旅客機の開発計画を相次いで発表。早ければ2022年にも登場する。排出ガス削減が表向きの理由だが、開発機運が高まる「空飛ぶクルマ」に対抗する狙いもある。

ロンドン支局 蛯谷 敏
2000年、日経BP社に入社。本誌編集部で06年から通信、ネット、金融、政治などを担当。日経ビジネスDigital編集長を経て14年4月からロンドン支局長。

 英国の格安航空会社イージージェットは9月27日に開いた投資家向け説明会で、電気旅客機を開発・運航する計画を明らかにした。米国のスタートアップと協業し、エンジンの代わりに電気モーターとファンを動力源とする短距離路線向け旅客機を共同で開発する。10年以内の商用化を目指す。

<b>英イージージェットが開発を目指す電気旅客機。両翼の根本部分に複数のモーターとファンを内蔵する</b>
英イージージェットが開発を目指す電気旅客機。両翼の根本部分に複数のモーターとファンを内蔵する

 パートナーに選んだのは米ライトエレクトリック。米航空宇宙局(NASA)や米ボーイング出身のエンジニアが、2016年に創業した。電気飛行機専用のモーターやバッテリーなどの研究開発を手掛けており、2人乗り小型電気飛行機の試作機を既に開発済みという。

 イージージェットが共同開発するのは、航続距離が540km程度、約220人が乗れる旅客機。ロンドン~アムステルダム間などでの運航を検討している。短距離路線に全面的に採用した場合、イージージェットが運航する全路線の2割程度をカバーできるという。

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日経ビジネス2017年10月23日号 88ページより目次

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