韓国企業の間で、開城工業団地の再開など北朝鮮ビジネスへの期待が高まっている。インフラ開発や通信、金融市場にチャンスをみる。だが、北朝鮮でのビジネスは一筋縄ではいかない。開城工業団地が突然閉鎖され大きな損失を被った記憶がよみがえる。契約や利益送金のルール作りもこれからだ。

 シン・ハンヨン氏は好んで自らを先駆者とみなす。「他の人が考えつかないような分野に可能性を見いだす。その意気込みが私たちにはあった」

 シン氏が経営する韓国の釣り具メーカー、新韓物産は、開城工業団地で最初に生産を始めた企業の一つだ。同工業団地は、南北の境界を北朝鮮側に越えたすぐのところに、2004年末に開設された経済特別区である。

閉鎖される前の開城工業団地では、多くの北朝鮮人が韓国企業の施設で働いていた(写真=代表撮影/AP/アフロ)

 北朝鮮が核実験を行ったのを理由に16年2月に突然閉鎖されるまで、シン氏はこの工業団地でスーパーバイザーを務めていた。閉鎖については今でも苦々しく思っている。シン氏は「事前に一言の相談もなかった。我々は政治に翻弄されるばかりだ」と不満を漏らす。