米コカ・コーラ社が英コーヒーチェーンのコスタを39億ポンドで買収すると発表した。消費者との接触なく商品を売るスタイルを取ってきた同社がカフェ事業に進出するのは「戦略転換」でもある。しかし、コカ・コーラ社のルーツをたどれば、同社はビジネスの原点に戻ってきただけだと筆者は捉えている。

 「極めて残念なことに、都会での生活がもたらす喜びは、ほぼ消費のみになってしまっている。都会での暮らしに楽しみを感じられないのは、都市自体に面白さがなくなってしまったからだ」

 米国の社会学者レイ・オルデンバーグ氏は1989年に出版された著書『The Great Good Place』にて、米国社会の現状をこう嘆いた。

 社会の発展に伴い、米国にはフランスのカフェや18世紀の英国のコーヒーハウスのように人々の憩いとなる場がなくなってしまった。飲食ができて他の人々と交流できる、自宅でも職場でもない「中立の領域」が、コミュニティーの形成や豊かな生活を送るためには必要不可欠だとオルデンバーグ氏は指摘する。

コスタは英国最大のカフェチェーンで、中国や中東地域にも展開する(写真=ロイター/アフロ)