欧州連合(EU)離脱を進める英国の政治が混迷を深めている。メイ首相の求心力は低下し、離脱方針を巡る閣僚同士の対立は解消する気配がない。堅調だった経済も失速。そんな中、「EU離脱を撤回すべきだ」という主張も盛り上がる。

ロンドン支局 蛯谷 敏
2000年、日経BP社に入社。本誌編集部で06年から通信、ネット、金融、政治などを担当。日経ビジネスDigital編集長を経て14年4月からロンドン支局長。
<b>すっかり求心力を失ったメイ英首相</b> (写真=AP/アフロ)
すっかり求心力を失ったメイ英首相 (写真=AP/アフロ)

 「Exit from Brexit(英EU離脱から離脱せよ)」──。英国の新聞やテレビで今、こんなフレーズを目にする機会が増えている。英フィナンシャル・タイムズは7月、EU離脱交渉を中止するよう英政府に求める公開書簡を掲載した。名を連ねたのは、大学の研究者や企業経営者、欧州議会の英国議員など65人。「離脱は悲惨な結果しかもたらさない」として方針転換を求めた。

 かつて与党・保守党と連立政権を組んでいた自由民主党のビンス・ケーブル新党首も、EU離脱の再考を求める論陣を張る。労働党のエド・ミリバンド元党首、そして保守党の一部議員からも同様の声が上がる。

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日経ビジネス2017年8月28日号 112ページより目次

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