米トランプ大統領のツイートに端を発したトルコ危機は、放漫な財政運営など、トルコ側にもリラ急落を招く要因があった。インドや南アフリカなど、他の新興国への影響も懸念されたが、混乱はすでに収まりつつある。政府の対応もさることながら、世界の投資家の関心が、中国企業など、他に移り始めたことが大きい。

 イタリア人の医者であり、詩人でもあったジロラモ・フラカストロ氏は1546年、伝染病について後世に名を残す論文を出した。彼はこの論文で伝染病は病原体を持つ者との接触による直接感染、媒介物を介した媒介感染、そして空気を通じて遠く離れた人に移る空気感染と、3つの形のいずれかで広がるとした。医学の世界ではもはや時代遅れの考え方ではあるが、経済危機の説明には依然有効なものだ。

 ドナルド・トランプ米大統領は8月10日、「病原菌」とも言えるツイッターを投稿、トルコ産の鉄鋼・アルミ製品の関税を2倍に引き上げると発表した。これは、トルコの2人の大臣に対し「深刻な人権侵害」を行ったと非難、制裁を科したことに続く措置だ。両大臣は在トルコの米国人牧師、アンドリュー・ブランソン氏が反政府勢力を支援したという根拠に乏しい疑いで拘束された事件に関わったとされている。年初来すでに38%も下落していたトルコリラは、この影響でさらに8%値下がりした。

 ひと昔前まで大食いはそうでない人より病気にかかりやすいと信じられていた。節度のない財政運営をしているトルコは、金融市場が動揺するとその影響を受けやすくなる。企業は結構な額の外貨建ての借り入れをしている。政府は自身の債務については管理可能だとしても、民間債務に巨額の保証をしている。