トランプ氏が大統領に就任して半年が経過した。この間、同氏が掲げた経済政策はほとんど前に進んでいない。減税しかり、インフラ投資しかりだ。こうした実態を反映することなく株価は高値を保つ。いずれ調整局面が訪れるのは避けられない。

ノリエリ・ルービニ氏
ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授兼、経済分析を手がけるRGEモニターの会長。米住宅バブル崩壊や金融危機到来を数年前から予測したことで知られる。

 米国のドナルド・トランプ大統領が就任して半年が過ぎた。今なら同政権が進める経済政策と米経済の見通しを、より一層の確信を持って評価できるだろう。言えるのは、矛盾をはらむ事態が多数存在しているということだ。これはトランプ政権が取り組む政策全般についても当てはまる。

大統領選中に掲げた経済政策のほとんどが前に進んでいない(写真=ロイター/アフロ)

 中でも難題は、金融市場が示す実績と実体経済の間に生じているズレだ。株価が最高値を更新し続ける一方で、2017年上期の平均成長率はわずか2%。(編集部注:成長率の低さが問題視されていた)オバマ政権時代よりも低い値にとどまる。下期についても大きな改善は見込めない。

 トランプ氏が自ら打ち出した政策を推し進めて経済の成長を促し、企業の利益を増大させる、という投資家らの期待はいまだ実現していない。加えて、賃金の伸びは低迷しており、インフレ率は、米連邦準備理事会(FRB)が掲げる目標値に到達していない。つまり、FRBは金利を正常化させるペースを予想よりも落とさざるを得ない。