2018年も世界経済は緩やかに拡大しているが、投資家はリスク回避志向を強め市場の変動は小幅なものとなっている。一方で貿易戦争や原油供給抑制などのトランプ政策がモノの価格を上昇させ、予想を上回るペースでインフレが進む。スタグフレーション(悪い物価上昇)は世界経済のリスクを増大させ、いずれはマイナス成長へと転じると筆者は警告する。

ノリエリ・ルービニ氏
ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授兼、経済分析を手がけるRGEモニターの会長。米住宅バブル崩壊や金融危機到来を数年前から予測したことで知られる。

 現在の世界経済見通しは1年前と比べて、どう変わっているだろうか。2017年、世界経済は先進国、新興国ともに成長が加速し、一様に拡大基調をたどった。加えて、成長は過熱気味であったが、インフレ率は落ち着いた水準にとどまっていた(下落してはいなかったが)。米国のように財や労働力の需給が逼迫し始めていた国・地域でも、同様の状況だった。

 経済が底堅い成長を示す一方で、インフレ率は依然、目標とする水準を下回っていたため、各国中央銀行は非伝統的な金融政策を全面的に継続する(日本やユーロ圏)、もしくは極めて緩やかに縮小を開始する(米国など)といったことが可能となった。

 力強い経済成長、低インフレ、金融緩和という組み合わせが示すのは、金融市場のボラティリティー(変動幅)の低下だ。国債利回りも極めて低い水準にある。こうした要因からか、投資家のリスク許容度はかつてないほど野心的なものとなって、多数のリスク資産の価格を押し上げるに至った。