製造業や物流業を中心に、米国では人手不足に苦しむ企業が増えている。背景にあるのは、堅調な実体経済とベビーブーマーの引退だ。人手不足は経済成長を制約する要因だが、イノベーションの呼び水になる可能性も。

ニューヨーク支局 篠原 匡
1999年、日経BP社入社。金融・不動産や遊軍担当、日経ビジネスオンライン記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。

 「セールスの伸びは極めて強いが、今の状況が続けばビジネスを少し縮小する必要があるかもしれない」。米中西部、ウィスコンシン州に本拠を置くアリエンスのダン・アリエンスCEO(最高経営責任者)はこう言うと頭を抱えた。同社が生産する芝刈り機や除雪機の需要は拡大している。だが、その需要を賄うだけの労働力が足りないのだ。

 同じことが全米で起きている。

 アリエンスから西に2400km。ユタ州ソルトレークシティーで住宅の屋根材を販売するルーファーズ・サプライも、建設現場に屋根材を運ぶトラックドライバーを確保するのに苦労している。「この2年間は人手不足が深刻。特に今が一番苦しい」とステファニー・パパスCEOは打ち明ける。