通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、中国企業として初めて日本国内に本格的な工場を設けると報じられた。日中関係の逆転に目が向きがちだが、「工場」という表現にとらわれすぎると同社の戦略を見誤る。IoT時代が本格到来するのを前に、世界中の企業や組織との共同研究を拡大する狙いがある。

上海支局 小平 和良
化学メーカーや通信社での勤務を経て、2000年に日経BP社入社。自動車や金融、流通業の取材を担当した後、14年4月から上海支局長。

 日本経済新聞は6月29日、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が中国企業として初めて日本国内に本格的な工場を設けると報じた。場所は千葉県船橋市。

 中国企業が日本に製造拠点を設けることに注目が集まるのは当然だろう。中国は1990年代後半から、低い賃金を生かし「世界の工場」として発展を遂げてきた。日本企業もこの「世界の工場」が提供する利点を享受してきた立場だ。中国企業が日本に工場を作るとなれば、これまでの日本と中国の関係が逆転することを意味する。

華為技術が上海に設けた「NB-IoTオープンラボ」。パートナーの名前がずらりと並ぶ

 ただ、日中の関係の変化という観点だけで捉えていると、売上高8兆円超の巨大企業、ファーウェイの戦略を読み誤るかもしれない。

 ファーウェイは工場新設の報道を受けて、船橋市内に「製造プロセス研究ラボ」を開設するとのコメントを公表した。日本企業が強みを持つ製造技術や品質管理手法を学び、自社はもちろんパートナーの製造技術も向上させる狙いがある。船橋の施設は工場ではなく、あくまで研究開発拠点との位置付けだ。