6月18日に実施されたフランス下院選の決選投票は、マクロン大統領率いる新政党の圧勝に終わった。フランスに親EUの安定政権が誕生したことで、EU関係者はひとまず胸をなでおろす。ただし、マクロン氏はEUに改革も求める。その方針を巡り、ドイツなどの加盟国と衝突する危うさもはらむ。

ロンドン支局 蛯谷 敏
2000年、日経BP社に入社。本誌編集部で06年から通信、ネット、金融、政治などを担当。日経ビジネスDigital編集長を経て14年4月からロンドン支局長。

 「強く安定した政権をつくる」。英下院選挙で思わぬ敗北を喫したテリーザ・メイ首相が抱いていた思惑を、皮肉にも、隣国フランスの新リーダーが達成した。

 6月18日に実施されたフランス下院選挙。決選投票の結果は、エマニュエル・マクロン大統領率いる「共和国前進」と、共闘する中道「民主運動」が350議席を獲得。定数577議席の約6割を占める一大勢力となった。

<b>マクロン仏大統領はEUの救世主となるか</b> (写真=代表撮影/ロイター/アフロ)
マクロン仏大統領はEUの救世主となるか (写真=代表撮影/ロイター/アフロ)

 共和国前進に所属するエドゥアール・フィリップ首相は勝利宣言し「我々の勝利は、フランスに新たな可能性をもたらした」と述べた。

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日経ビジネス2017年6月26日号 96ページより目次

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