ユーロ圏第3の経済大国、イタリアでEU懐疑派の政権が誕生し、ユーロの存続に暗雲が垂れ込めている。状況を好転させるには、債務削減や構造改革の重荷を貧国に負わせるべきではないと筆者は考える。預金保険制度の共通化など、ユーロ改革を進めるためにも、ドイツや北欧諸国は柔軟な対応を取るべきだ。

ジョセフ・スティグリッツ氏
1943年米国生まれ。米アマースト大学卒、67年米マサチューセッツ工科大学で経済博士号取得。95~97年クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、97~2000年世界銀行のチーフエコノミスト。2001年にノーベル経済学賞受賞。現在は米コロンビア大学経済学部教授。2011年に米誌「タイム」の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれる。『世界の99%を貧困にする経済』など著書多数。

 通貨ユーロの存続を脅かす新たな危機が迫ろうとしている。ユーロ圏第3の経済大国イタリアで、欧州連合(EU)の理念やあり方に反発する、EU懐疑派と呼ばれる政権が発足したからだ。

イタリアではEU懐疑派として知られるジュセッペ・コンテ新首相が就任(写真=AP/アフロ)

 今、この結果を意外なものと捉える人はいない。ユーロは数々の欠陥があるまま誕生した通貨である。だからこそ、イタリアのEUに対する反旗は、当然予測し得る(実際予測通りだった)様々なエピソードの一つにすぎない。

 EUにおいて圧倒的な支配力を握るドイツは、EU改革に情熱的に取り組む姿勢を見せているが、実際は必要とされる改革を阻んでおり、もともとある問題をより悪化させる政策の実行を主張している。