主演女優の人種差別的発言で、高視聴率の人気ドラマ打ち切りを決めたABCを、米トランプ大統領が批判した。米政権の政策に反発し、移民保護や平等といった価値観を重視する姿勢をアピールする企業が増えている。両者の溝は深まる一方だが、自社のブランド価値を維持し、経営を守るためにもこうした姿勢を貫くことが重要だ。

 今年3月、1980年代に大ヒットした連続ドラマ「ロザンヌ」の復刻版が放送された初日、放送元のABCテレビの幹部たちは、視聴者の好反応に大喜びだった。米国の労働者階級の家庭、コナー家の日常を舞台にしたこのコメディードラマは、これまで放送された人気番組の視聴率の記録を次々と塗り替えた。人気の秘密は「自分たちと同じような家族」をモデルにしたことだ。

打ち切りになった人気ドラマ「ロザンヌ」の主演女優だったロザンヌ・バー氏(右)は、以前よりトランプ大統領(左)の支持者として有名だった(写真=AP/アフロ)

 主演女優、ロザンヌ・バー氏はドナルド・トランプ大統領に対する支持を明確にしており、トランプ大統領もそのことをよく知っている。「番組の視聴率を知っているかい? 1800万人以上の人がこの番組を見ている。しかも主人公は我々自身だ!」。トランプ大統領は最近開催された支持者たちの集会で、番組をこのように取り上げた。

 新しいドラマのヒットは、放送局にとっては至上の喜びだ。ウォルト・ディズニーの傘下にあり、様々な競争や圧力にさらされているABCのような民間放送局にとってはなおさらだ。