ビットコインを獲得すべくマイニングに携わる人々は、演算を高速化する専用のチップを使う。仮想通貨ブームは、こうした専用チップやマイニングに転用できるGPUの開発会社に恩恵をもたらした。チップを受託製造する企業も売り上げを伸ばす。ただし、半導体各社はブームの先を見据えている。

 ユーチューバーのジェレミー・シアラッパ氏は最近投稿した動画の中で、居間に設置した赤いケースの蓋を開けてみせた。靴箱ほどの大きさの銀色の装置がうなりを上げている。中国企業のビットメインが販売する「アントマイナーS9」という装置だ。

 この装置は、世界で最もよく知られる仮想通貨「ビットコイン」を使って決済された取引の確認に役立つ作業をしている。ビットコインには管理権限を持つ中央組織が存在しない。通貨として機能させ続けるためには、利用者が維持作業を行う必要がある。その作業はマイニング(採掘)と呼ばれ、それに携わった者に報酬としてビットコインが与えられる。

 アントマイナーS9は、趣味でマイニングを行う世界中の人々の間で人気の装置だ。その中には189個のASIC(特定用途向け集積回路)が収まっている。ビットコインの暗号パズルを可能な限り速く解くためにビットメインが設計したチップだ。製造は台湾の半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が請け負う。