黒人客が注文前にトイレを借りようとしたところ、米スターバックスの店員は警察を呼んだ。この行為は全米で抗議運動を招いた。同社は謝罪し、国内全店舗を半日閉店して反差別の研修を実施する。社会の分断が深刻化する米国で、企業は従業員や消費者の社会意識の高まりに対応を迫られている。

2人の黒人が逮捕されたスターバックス店内で抗議の声を上げる人々(写真=ロイター/アフロ)

 3年ほど前、米国の警官が丸腰の黒人を殺害する事件が連続した。事件の一つが起きたミズーリ州ファーガソンからカリフォルニア州オークランドまで、全米各地で人種差別に抗議する運動が巻き起こった。

 米スターバックスを人気のチェーンに育て上げたハワード・シュルツ氏はこの時、米国の人種問題について同社も声を上げる必要があると考えた。当時、同社のCEO(最高経営責任者)だったシュルツ氏は、数千人の従業員を集めて社内フォーラムを開催し、それぞれの経験を語らせた。バリスタには、飲み物を提供する紙コップに「Race Together(人種共存)」と書いて客に渡し、話の糸口にするよう求めた。

 シュルツ氏は従業員向けビデオメッセージの中で、「『ハワード、これは我々が関わるべき問題ではないよ』と言ってくる人もいた。私には、その助言を受け入れる気持ちはまったくない。我々はこの問題をほかの誰かに任せるわけにはいかないからだ」と語った。