カンボジアで家電の販売が上向き始めた。2月末の国政選挙を境に流れが変わった。この選挙で、フン・セン首相率いる与党が強権的な手法を用いて圧勝したにもかかわらずだ。独裁への懸念より経済成長を優先する──市民のそんな思いが透けて見える。

バンコク支局 飯山 辰之介
2008年、日経BP社入社。製造業や流通業などを担当。13年、日本経済新聞に出向。15年に日経ビジネス編集部に復帰し、17年9月からバンコク支局長。

 「3月に入り、様子見をしていたお客が動き出した。量販店からの引き合いが増えている」。カンボジアの首都プノンペンで、ある家電メーカーの関係者が顔をほころばせた。これまで振るわなかった家電市場が、上院選挙の終了を機に上向き始めたという。

 カンボジア人民党(CPP)を率いるフン・セン首相は、最大野党のカンボジア救国党(CNRP)を昨年11月、強引に解散させた上でこの選挙に臨んだ。結果は当然、CPPの「圧勝」。全議席を独占するに至った。加えて同首相は政府に批判的な英字紙を発行停止に追い込むなど独裁色を強めている。

 CPPに対する反発や、CNRPの支持者らの抵抗が選挙前後で盛り上がり、予期せぬ混乱が起きるのではないか。そんな不安が消費を鈍らせていたと先の関係者はみる。