米国と北朝鮮のトップ会談の開催決定は、厳しい経済制裁がもたらした成果だと評価する声は少なくない。だが、北朝鮮との交渉経験を持つ人物がトランプ政権にいないなど、北朝鮮から譲歩を引き出すハードルは高い。譲歩を引き出すどころか、北朝鮮側に有利な条件をのまされかねないと警鐘を鳴らす専門家もいる。

(写真=AFP/アフロ)

 北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は最近の論説で、ドナルド・トランプ米大統領を皮肉たっぷりに褒め殺していた。精神病院に閉じ込めろと言わんばかりの憤慨した調子で、トランプ氏について「間抜け」「年老いた奇人」などと書き立てている。

 だがこれらの表現に交じって「ギャングの親玉」と呼ぶなど、同氏への違った見方もうかがえた。文字通りのギャング国家を営んできた金王朝の指導者たちは、3代にわたり米国から対等に扱われることを熱望してきた。西側と取引をするのならば、北朝鮮はトップと会談したいのだ。

 トランプ大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長からの会談の要請を受けたことで、米国の北朝鮮問題に関わる外交官や工作員、そして海外当局者の中には複雑な気持ちになる者もいる。北朝鮮のペースに乗せられたと考えるからだ。