米国内を走る石油パイプラインが“逆流”を始めた。シェールオイルの生産拡大が背景にある。輸入原油をメキシコ湾岸から内陸に運ぶ従来の流れと、国産シェールを湾岸に運ぶ新たな流れの主客が逆転する。新たなパイプラインの開通も進む。輸送インフラの整備が米国産原油の輸出競争力をさらに高める。

 米国市場で、原油の流れが大きく方向を変え始めている。メキシコ湾岸からパイプラインを通って北へと運ばれてきた原油は今、その同じパイプラインを逆流する形で、内陸の油井からメキシコ湾岸沿いのターミナルへと運ばれる。新たに敷設されるパイプラインもメキシコ湾岸を目指す。

 この変化は、世界の石油市場において米国が輸出国としての地位を固めつつあることを示している。シェール油田で生産した原油や、メキシコ湾岸沿いの製油所で精製した燃料の輸出が拡大しているのだ。パイプラインが増設され、港が拡張されるのに伴い、米石油業者の生産量は日量1000万バレルに達し、サウジアラビアやロシアと肩を並べるまでになった。

 米国の石油輸送施設はかつて、外国産の石油で満たされていた。例えば1967年にルイジアナ州とイリノイ州を結ぶカプライン・パイプラインが建設され、ルイジアナ州から北に向けて輸入原油やメキシコ湾岸産原油の輸送が始まった。イリノイ州に運ばれた原油は、そこから中西部の製油所に送られた。こうした状況がまさに様変わりした。