移動先で乗り捨てられる自転車貸し出しサービス、自転車シェアリングから手を引く企業が欧州で出始めている。都市での新しい公共交通手段として注目されたが、相次ぐ自転車の盗難や破壊問題が解決できないためだ。技術の力で不正を取り締まる動きがあるも、コストがかかるため、ビジネスとして成立しないとの声もある。

GoBeeの自転車シェアリングサービスは、欧州へ進出するも、盗難や破壊行為に悩まされ、フランス、イタリア、ベルギーから撤退を余儀なくされている(写真=ロイター/アフロ)

 大量破壊──。自転車シェアリングの現場で今起こっていることを一言で表せばこうなる。窃盗や破壊被害が相次ぎ、使える自転車の数が激減したことを受けて、香港の自転車シェアリングベンチャー、GoBee(ゴービー・バイク)は先週、フランス国内から撤退すると発表した。イタリア撤退を発表してからわずか数日後のことだった。

 同社の直近の事業報告書は、まるで欧州人に対する恨みつらみにしか捉えられない。「たった4カ月のうちに当社が保有する自転車の6割が破壊されたり、盗まれたり、私物化された。こんな状況では、欧州での事業展開自体がもはや不可能だ」

 欧州はサイクリングのメッカとして知られる。ツール・ド・フランスの舞台であり、自転車発祥の地だ。欧州委員会によれば、EU加盟国の総人口のうち、約8%が自転車を日常の交通手段として利用しているという。