英政府と欧州連合(EU)との間で離脱交渉が進む中、強硬な政府のやり方に与党内でも異論が高まっている。英国議会の4分の3の議員はもともと残留派であり、できるだけ「穏健な離脱」を望んでいる。野党労働党の党首も関税同盟への残留を容認。メイ首相はEUとの交渉でますます難しい局面に立たされそうだ。

 英国の憲法とは不思議なものだ。どこかでまとめて書き下ろされたものではないため、いら立たしいほど曖昧な側面を持つ。だが、最も重要な点、すなわち「主権がどこに存在するか」については、極めて明確に記されている。

 英国の主権は政府にはない。また、幸いなことに、「人民」という、極めて抽象的な、危なっかしい概念に付与されてもいない。主権は議会に、それも最終的には下院(庶民院)に存在する。

英政府が進めているEU離脱法案において、EUと合意した離脱条件の改善を求め、議会が動き始めている。「英国の主権は議会にある」とする憲法の通りに事態は動くだろうか(写真=ロイター/アフロ)

 英国のテリーザ・メイ首相は、欧州連合(EU)からの離脱手続きを進めるにあたり、この厄介な憲法上の事実を何とか政治的に扱える形に丸め込もうと、できる限り努力してきた。与党勢力を増やし、同時に議員をアメとムチで操る力を強めようと、総選挙を行った。議員に対しては、EU離脱法案については最後の段階で投票権が与えられるにすぎないと主張した。