米株式市場の乱高下は、それ自体を懸念する必要はないが、インフレ経済への移行を示す先触れでもある。かじ取りの難しいこの局面において、米政府と議会は歳出を大幅に増やす賭けに歩みを進めている。その賭けの成否の鍵を握るのは、新任のパウエルFRB議長だ。利上げを急がない冷静な判断が望まれる。

 市場に激しい変動が戻ってきた。米国の株式市場は長い間、急落することもなく堅調に上昇する平穏な時期を過ごしてきた。しかし2月5日、それは突然に終わりを迎えた。

 きっかけは2日に発表された米雇用統計だった。その数字は米国の賃金上昇が加速していることを示していた。S&P500種株価指数は、同日はわずかな下げにとどまったものの、翌営業日の5日には大幅に下落した。

 VIX指数(恐怖指数)は、2月1日には14という平凡な数字だったが、警戒を要する37へと跳ね上がった。同指数は、米国株が将来どれほど激しく変動するかを測るもの。世界のほかの株式市場にも緊張が走った。