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中国経済の失速が顕著だ。さらなる減速は中国の経済、金融、社会の安定を損ないかねない。中国の中央銀行は金融緩和を進めるべきだ。不動産バブルは財政政策で抑えることができる。中央政府が主導する景気テコ入れも重要となる。インフラ投資の失速が成長鈍化に拍車をかけている。

余 永定(Yu Yongding・ユ ヨンディン)氏
中国社会科学院世界経済政治研究所の元所長。中国人民銀行の元金融政策委員であり、同国の主要エコノミストの一人。マクロ経済や世界金融に関する論文や著書を多数発表している。
習近平氏は、中国経済自体の失速とも戦わねばならない(写真=ロイター/アフロ)

 2018年の中国経済は期待外れの結果に終わった。政府統計によれば、第3四半期末までの成長率は6.7%にとどまり、グローバル金融危機が起きて以降で最も低い水準となった。実際の経済状況は恐らくもっと厳しかったと思われる。

 国内外の観測筋の多くは中国の成長見通しに対し疑念を強める。制度改革が遅々として進んでいないからだ。構造調整には数々の障害が立ちはだかる。住宅バブルの崩壊と、地方政府もしくは企業の大規模なデフォルト(債務不履行)が引き金となって、金融危機が再発するとの懸念が一部で浮上。米国との貿易戦争がこうした不安を一段と深刻なものにしている。

 中国が過去40年にわたって目覚ましい経済成長を遂げたことを考えれば、減速は不可避だったといえる。それでも中国政府は今年、経済がさらに減速する事態を回避すべく努力する必要がある。さもなければ、中国の経済、金融、社会の安定が損なわれてしまうだろう。政府がマクロ経済政策に対する姿勢を正すことで、この目標を達成することができる。