「The Economist」「The Financial Times」など「日経ビジネス」が提携する海外メディアの記事を翻訳してお届けします。
シリーズ
世界鳥瞰

711回
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極右との連立に揺れるスペイン、争点は人工中絶の抑制策
スペインのある州で連立政権入りした極右政党が中絶を抑制する方策を提案し、政権内に対立を引き起こした。連立相手の中道右派・国民党はこの提案を拒否したが、この騒ぎは極右との連立がもたらす危険を浮き彫りにした。今年の総選挙で絶…
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ChatGPTで、マイクロソフトのナデラCEOの良識が試される?
マイクロソフト(MS)が巨額の投資をする米オープンAIのChatGPTは、技術の世界を一変させる可能性を秘める。MSのナデラCEOはこの最先端AI技術で自社の製品群を作り替え、スマホ時代の失地を回復する意図とみられる。問…
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過剰債務の途上国、債務整理に向けた国際枠組みの構築を
新型コロナ禍やその後のエネルギー価格の上昇、ドル高などで、多くの発展途上国が債務問題に直面している。今や先進国のみならず、中国など西側諸国以外も途上国の債権者となっているため、債務整理は容易ではない。国際的な債務再編の枠…
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TSMCが米国に新工場、「脱台湾」超えた長期戦略
半導体世界大手のTSMCが、米国や日本に新工場を建設するなど、地政学的リスクを避ける動きに出た。だが同社の動きは「脱台湾」ではなく、むしろ長期的な視点であらゆるリスクに備える動きと見るべきだ。TSMCが持つ世界最先端の半…
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文化戦争に巻き込まれた米医学界
新型コロナワクチン接種の是非をめぐる議論は、医学に対する米国民の信頼を大きく損なった。医学が政治利用され、両陣営とも自派に都合のよい証拠だけを取り上げたことが科学への不信をふくらませた。保守強硬派のデサンティス・フロリダ…
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米共和党 vs 民主党、獲得議席数が常に拮抗する謎
米民主・共和両党への支持は過去40年の間拮抗し、ごくわずかな差で政権や議会多数派が入れ替わってきた。その間、両党の支持層は大きく変化したにもかかわらず、結果として微妙な均衡状態が続く。その理由は謎だ。1980年代以後は、…
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2023年も金融市場はインフレに振り回される
2022年にFRBが実施した急激な利上げは、株式、債券、暗号資産など金融市場全体に大混乱を引き起こした。足元、インフレは世界的に収まりつつあるようだが、今後の利上げ方針をめぐりFRBと投資家の予想は食い違っている。一部ア…
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戦国時代に突入した米デジタル広告市場
デジタル広告市場を押さえていたメタとグーグルの合計シェアが、8年ぶりに50%を割り込んだ。アマゾンやアップルが広告事業に力を入れ始め、TikTokなどもシェアを拡大しているためだ。今後のカギを握るのは、顧客データとプライ…
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資本市場のクラウド化が進展、高まるIT大手への警戒感
IT大手が証券や商品の取引所と提携し、クラウド移行を支援する動きが目立つ。取引所は顧客向けデータサービスが改善でき、IT企業は収益が確保できるウィンウィンの提携だ。だが、一握りのクラウド大手が将来的に資本市場のインフラを…
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EUを揺るがす欧州議会の汚職
欧州議会の現職副議長や元議員ら関係者数人が、カタールからの収賄容疑で逮捕・起訴された。一般になじみのない議会の醜聞であるため派手に報じられたが、これでEUが芯から腐敗していると見るのは早計だ。だがウクライナ支援で欧州が団…
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ネットゼロ移行、甘い雇用見通し
自動車産業や鉄鋼業を中心に、産業の炭素排出量削減は大量の雇用減を伴う。創出される「グリーンジョブ」で十分に埋め合わせることができる、との見通しは楽観的すぎる。ネットゼロへの移行で供給網がどう変わるかの実態すら把握されてお…
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米中をはかりにかける湾岸諸国
サウジアラビアを訪問した中国の習近平国家主席は、先に訪れたバイデン米大統領より温かい歓迎を受けた。湾岸諸国は米国に不満なのだ。この地域を十分に守らないのに、他の大国の影響力拡大を望まないからだ。だが双方とも、中国がこの地…
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米インフレ抑制法、EUとの貿易巡る新たな火種に
米国でこのほど成立したインフレ抑制法は国内に拠点を構えた企業に補助金を出すなど保護主義的な政策を含む。EUは自由貿易の原則に反すると抗議するが、自身も保護主義的な産業政策を持つため、反論は説得力に欠ける。WTOに提訴する…
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中国のコロナ抗議デモに見る、若者の改革姿勢への本気度
ゼロコロナ政策への抗議デモが中国全土に広がる中、北京で若者たちが公安当局の指示に従う出来事があった。その様子からは、自分たちの置かれた現実をわきまえた上で抗議姿勢を示す若者たちの姿が見てとれる。警察はデモを取り締まらなか…
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FTX破綻の根底はマジカル思考
FTXの経営破綻を振り返ると、このリスクがなぜこれほど長く放置されていたのかという疑問が浮かぶ。その背景に、理解できないことに魔術的な理由付けをし、信念を脅かす矛盾に目をつむる人間の性向がある。この性向はどの分野にも見ら…
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国外に拠点移すロシアの独立メディア
ウクライナ侵攻後、ロシアの独立系ジャーナリストたちは国外に活動拠点を移した。事実の報道を求める多くのロシア国民は、国外から発信される独立メディアをVPNなどを利用して視聴する。国外で活動するジャーナリストたちは、プーチン…
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パリに「空飛ぶタクシー」乗り場
ドローンのように電動ローターで空を飛び乗客を運ぶ「eVTOL」専用ターミナルが、パリで試験運用を開始した。空飛ぶタクシーと呼ばれるeVTOLはヘリコプターより静かで運航コストも安い。自動操縦も視野に入る。運営会社は、20…
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EU離脱のツケ、パリ市場に迫られるロンドン株式市場
パリの株式市場に上場する企業全体の時価総額が、ロンドン市場に迫っている。EU離脱後のポンド安と英国政治、英仏それぞれで多く取引される企業の好不調などが複合的に影響する。預託証券を含めればロンドンは今なお世界の中心だが、機…
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米中対立で「漁夫の利」得るアジア
トランプ前米大統領が対中関税を強化した時、世界のサプライチェーンはアフリカや中南米にシフトすると思われた。だが貿易を拡大したのは東南・南アジアの国々だった。米中欧とも、この地域との貿易割合を増やしている。だが米国が輸入す…
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米LNGは「欧州の救世主」なるか
米国はシェール開発で、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国となった。採掘技術の低コスト化も進んでいる。ロシア産の天然ガスに頼れなくなった欧州は米国からの輸入を増やすが、これを続けるのは簡単ではない。気候変動問題が天然ガ…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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