熊本地震や河川氾濫など、様々な災害に見舞われた2016年の日本。 地震・気象学的および確率論的には、2017年はさらに大きな天変地異が発生してもおかしくない。 一方で、自然災害に並ぶもう一つの日本のリスク、外交は「均衡を保つ」というのが本誌の結論だ。
不安定要素もありながら識者の予測を見る限り、経済的には比較的安定しそうな2017年(30~37ページ参照)。だが、そうした楽観的な予測を吹き飛ばしかねないのが、地震・異常気象などの災害リスクと、外交リスクだ。
まず自然災害。これについては登場した白組・紅組の両予測者ともに不気味な見解を打ち出している。2016年は4月に熊本地震が発生。8月の台風10号で岩手県のグループホームが浸水し、高齢者9人の命が奪われた悲劇も記憶に新しい。
地震予測のプロ、琉球大学の木村政昭・名誉教授は2017年も伊豆・小笠原諸島沖、宮崎県日向灘沖での地震発生や、果ては富士山噴火の可能性まで指摘。気象予報士の井田寛子氏は引き続き、猛暑と豪雨、さらに温暖化に伴う感染症の増加まで警戒すべきとしている。
一方で、外交リスクに関する宋文洲氏の予測は、災害予測に比べると楽観的だ。最大の懸案であるトランプ米大統領誕生に対しても、「余計なことはしない」と断言。三浦瑠麗氏は、「トランプ政権が世界の外交の形を変えること」自体は認めている。だが、それが即座に局地的紛争に発展する危険性まではその発言からは感じ取れない。ただ「日本が外交面で“やるべきこと”が増える」と強調しているだけだ。

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