ミスター異業種参入
エイチ・アイ・エス会長兼社長
澤田秀雄(65歳)
勃興するのはずばり
「食料・ロボット・宇宙」

 学生時代に50カ国以上を旅行し、帰国後、格安航空券事業を開始。その後、ホテル業、航空業、証券業などに進出し時代の寵児に。2010年からは18年連続赤字だったハウステンボスの再生に挑み、短期間で黒字化を達成。言わずと知れた伝説のアントレプレナーによる「10年後の新産業」論。

 10年後に間違いなくクローズアップされているのは世界的な食料不足です。これまでも紛争の引き金になってきました。だからまず、食料ベンチャーには大きな可能性があります。我々もハウステンボスで生産性の高い植物工場の研究に力を入れています。

(写真=竹井 俊晴)
(写真=竹井 俊晴)

 AI(人工知能)を含めたロボット分野にも興味があります。既にロボットが働く「変なホテル」を運営していますが、今後は弁護士や医師のような専門職すらAIに置き換わりますよ。10年後の人間は創造力や感性を発揮しないと仕事がなくなってしまう。

 ただ、悪い話ばかりではない。ロボットの活用で企業の生産性が上がれば、残業が減って余暇を楽しむ人が増える。エイチ・アイ・エス(HIS)にとってはプラスの要素です。観光やホテル業にはまだまだ成長の余地があります。

 旅行と言えば、10年後の旅先には宇宙も含まれます。先日、ANAホールディングスとHISが、宇宙開発ベンチャー、PDエアロスペースとの資本提携を発表しました。宇宙旅行が現実になったら、「宇宙ホテル」という夢が膨らみますね。人間が宇宙に長期滞在するのは難しいから、宇宙ホテルの従業員も全員ロボットです。

 私は常に夢や目標がある。今の夢は「10年後にHISがロボット、再生可能エネルギー、植物工場、ホテルの4分野全てで世界的な企業になっていること」です。現在主力の旅行事業よりそれぞれを大きくしたい。

こう見えてもばくちはやらない

 とはいえ、私は、危ない橋を渡っているように見えて、ばくちはやらない主義なんです。安全性を高めるため、新しくベンチャーを始める際に重視するポイントは3つあります。

 まず向こう10~15年伸び続けられる成長性があるか。次に投資を3~5年で回収できるだけの利益を出せそうか。最後は「その事業が世のため人のためになるのか」。

 10年先の未来を見据えて動かないとベンチャーなんて面白くない。そう思って20年前にスカイマークを設立し、航空業界に参入した時は時代が早過ぎましたが(笑)。

 若い頃は「60歳を過ぎたら新しい発想が湧かなくなる。自分は老害にはなるまい」なんて思っていました。確かに体力は落ちたかもしれませんが、失敗の分だけ学んできましたから、経営者としての能力は落ちていない。

 「生涯ベンチャー経営者」という病にかかっているんでしょうね。10年後も、きっとそれは治っていないと思うなあ(笑)。

澤田氏の予測
  • 1. 食料ベンチャーに一大チャンス
  • 2. AIと宇宙関連も市場拡大
  • 3. 10年後も私は新事業に挑戦(生涯ベンチャー経営者病は治っていない)

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