価格競争に巻き込まれた「モノ作り」は、下請けや海外工場と利益を奪い合う。一方で、地域の復興を目指し、小さな取引をつなげて利幅を高める企業が産声を上げる。そのストーリーが、さらに人を引きつけて、「信頼」ある生態系を広げていく。

 JR吉祥寺駅(東京都武蔵野市)の北口を出て、にぎわう商店街を抜け、細い道を曲がると、人通りも少ない中に、ぽつんと小さな店舗が姿を現す。ここは今、聖地とも言える場所になろうとしている。

<span class="fontBold">Knotの原点とも言える東京の吉祥寺の1号店に立つ社長の遠藤弘満。テーブル1つの小さな店に、若者や外国人、地元の住民などが次々と訪れる</span>(写真=的野 弘路)
Knotの原点とも言える東京の吉祥寺の1号店に立つ社長の遠藤弘満。テーブル1つの小さな店に、若者や外国人、地元の住民などが次々と訪れる(写真=的野 弘路)

 Knot(ノット)吉祥寺ギャラリーショップ。

 海外も含む14店舗を展開し、2桁成長で20億円の売り上げに到達した腕時計メーカーは5年前、この地にひっそりとオープンした。

 「完全な日本製の時計を作る」

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