「会社」という組織の中に、社員を囲い込む時代が終わろうとしている。副業や社外活動を通して組織の壁に穴を開ければ、眠っていた社員の能力が解き放たれる。人口減少と人材不足の中、「会社」という概念は大転換する。

 「ある意味、『会社は悪だ』と思っている人が多いんです。優秀な人を抱え込みすぎているし」

<span class="fontBold">社長の机も壁が低い。ロート製薬社長の山田邦雄は社員をつかまえて関西弁で声を掛ける</span>(写真=村田 和聡)
社長の机も壁が低い。ロート製薬社長の山田邦雄は社員をつかまえて関西弁で声を掛ける(写真=村田 和聡)

 ロート製薬広域営業部リーダーの佐藤功行(37歳)はそう苦笑する。大手ドラッグストアへの営業を統率する重要な任務を負っている佐藤だが、実は、もう1枚の名刺を持っている。

 「株式会社バトンプラス取締役」

 同社は北海道十勝地方の浦幌町で、衰退する林業を復興するため、佐藤らが2018年6月に設立。樹齢50年の立派なカラマツがあるが、1本6000円程度にしかならない。柔らかくて傷つきやすいからだ。そこで大学教授に相談して、最初からダメージ加工を施した。住宅改修向けの古民家風木材として、4~5倍の値段がつくようになった。

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