突出した経営者に依存せず、バトンを受け渡しながら長期的に企業価値を高めていく。それこそが、一つの持続成長のモデルとも言える。

 ただ現実的には企業ごとに経営のあり方、トップの役割は異なってくる。どのような経営体制が自社に適しているかは千差万別だ。

 下にあるように、2015年度までの30年間の主な企業の「経営リレーチャート」を見ると、企業ごとの個性が浮かび上がる。ここでは取り扱う製品領域が似ているため比較しやすい自動車・電機業界の主要プレーヤーを選んだ。

 自動車業界は、カリスマ性を持ったリーダーが会社を引っ張るタイプと、番頭たちに支えられながら社長が短期間に経営のバトンを渡しているタイプに分かれる。鈴木修会長が率いるスズキや、カルロス・ゴーン社長率いる日産自動車が前者で、トヨタ自動車やホンダは後者と言えるだろう。

 ただし、トヨタは2009年に創業家の豊田章男氏が社長に就いており、今後は過去十数年とは異なる波形が描かれる可能性もある。

 電機業界はどうか。2000年代以降、韓国・台湾勢の台頭やリーマンショックにより、業界全体として大幅な事業構造の転換を迫られた。ソニーやパナソニックが出遅れた一方、一人勝ちとも称されたのが三菱電機。1998年に社長に就任した谷口一郎氏以降、4年任期という「鉄のリズム」を守り続けている。核となっているのが、2001年度から続く「成長性」「収益性・効率性」「健全性」のバランスを重視するという経営方針。社長が自分の出身部門やその時々の業界トレンドとは距離を置き、あくまで経営方針に沿った事業構造を選ぶことで、電機業界のなかでは順調な成長を遂げている。

注:図表内の歴代社長は敬称略。カッコ内は社長の在職期間。グラフは2015年度まで
出所:野村総合研究所

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