在職期間が6年以上になると社長(CEO)とその他の経営幹部層との「経験値ギャップ」が大きくなる傾向が出てくるため、スムーズな経営の世代交代が難しくなる。その結果、次の代、またその次の代で企業価値が毀損しやすくなる

PART1でも見たように、バトンを次にどう渡すかは経営者にとって最も悩ましいテーマ。正解がないことは、2016年に起こった数々のトップの交代劇を見ても分かる。
83歳で経営の第一線から退いたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文・名誉顧問は、「60歳を過ぎたら引退すべきだと思っていた」と言う。
そのほか、1995年に社長に就任してから一旦は会長となり、2012年に社長に復帰したキヤノンの御手洗冨士夫・会長兼CEO(最高経営責任者)。13年間社長を務めたファナックの稲葉善治・会長兼CEO。日本では「プロ経営者」の先駆けとも言えるLIXILグループの藤森義明・社長兼CEOや、ベネッセホールディングスの原田泳幸・会長兼社長などが社長の椅子を譲った。
「続投」も注目された。1月には、就任6年目の伊藤忠商事の岡藤正広社長が自ら続投を宣言。これまで任期6年となっていた同社の慣例にとらわれない考えを表明した。
そして6月、ソフトバンクグループで孫正義社長の後継者候補と見られていたニケシュ・アローラ副社長が突如退任を発表。孫社長は当面の続投を表明するや否や、英半導体アーム・ホールディングス買収など攻めの経営を加速させている。
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