経営者は「経営のリレー」についてどう考え、実際にどう行動してきたのか。創業者に中興の祖、プロ経営者など、様々な立場から本音を語ってもらった。

アイデア出尽くす8年がめど

エイチ・アイ・エス
創業者/4代目社長(兼会長CEO)
澤田秀雄氏
1980年に創業し、低価格ツアーで急成長。近年はホテルなど事業の多角化を進める。2016年11月に社長復帰。65歳。(写真=陶山 勉)

 2004年から社長は創業メンバーの鈴木芳夫、2008年からは平林朗(現副会長)に任せていたが、2016年11月から再び私が社長に就いた。

 復帰したのは、自分で作ったビジネスモデルが古くなり、成長が鈍化してきたから。一つのビジネスモデルは長くて30年。新しく創造しなければならない時期が来ている。

 複数の事業を横串で見る必要が出てきたこともある。2010年にハウステンボスの再生に着手して以降、事業の多角化が急激に進んだ。売上高100億円が見えてきた電力小売りに、世界展開を始めるホテル、海外事業が伸びている旅行。ロボット事業の会社設立も1月に正式発表する。

 社長復帰を機にグループ全体の組織も見直した。本当は持ち株会社制がいいが、各事業から役員が育ってくるにはどうしても数年かかる。

 だからまずはカンパニー制にして、それぞれのトップに権限と責任を持たせるようにした。その上で、グループ全体の事業を把握できている自分が社長をやろうということだ。

 世界の旅行会社のトップクラスは4兆~5兆円規模。当社はグループ全体で売上高5000億円超まで成長したものの、世界で戦うには最低でも1兆円ぐらいの売上高と、500億~1000億円程度の利益を出さないといけない。インバウンドなど2桁成長している事業もあるので、それぞれの事業の成長スピードを見極め、撤退の判断や経営資源の配分を思い切ってやりたい。私が考えているのは3~5年先のことだ。

 個人的には、社長は8年ぐらいの周期で交代することをイメージしている。8年ぐらいでアイデアが出尽くすためだ。ただ、自分はもう8年もやるつもりはない。

 若くて優秀な人材を育てるために、2015年に「澤田経営道場」を作った。経営者になりたい人が立候補し、選考した上で学ばせている。そこで育った人に子会社の社長をやってもらい、成果を出したら本社役員や社長を任せる。

 道場の最初の半年は座学で、残りの1年半はハウステンボスで実践しながら学ぶ。今後は、そこで育った人材が経営を担うことになるだろう。

 それでも創業者は“病気”みたいなものだから、完全に辞めることはないだろう。一歩下がって、何かあった時には相談に乗る。だから創業経営者の後継者は苦労すると思う。ただ、創業者も体力と知力は落ちてくるので、若手に譲っていくべきだろうとは考えている。(談)