人間が「家族」を失いかけている中で、動物たちは今日も子を育て、集団生活を送り続けている。動物学の権威たちは、そのプリズムを通して、人間社会の病理を読み解き、「再生」への道を示す。

(写真=westend61/Getty Images)

 「家族が身体的なつながりを根拠にして出来上がっていることを、僕はゴリラから学びました。ゴリラは言葉を使うわけではないのに、10頭前後の群れが1つの生き物のように動きます。

(写真=菅野 勝男)
「サルの格差社会」に似てきた京都大学総長
山極 寿一(やまぎわ・じゅいち)
1952年東京生まれ。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程退学。理学博士。京大霊長類研究所などを経て2014年より現職。

 僕はこれを『共鳴集団』と呼んでいて、現代で言えばスポーツのチームであり、『家族』なんです。スポーツでは言葉ではなく身体でつながり合って連係して動ける。家族も言葉を必要としないくらい、それぞれの身体の個性を分かり合っていて、まとまることを喜びとする集団です」

 京都大学総長で霊長類学者の山極寿一は、ゴリラやチンパンジーといった霊長類の生態を研究する過程で、動物と人間の「家族の起源」を解き明かしてきた。