多発する不祥事の中で、トップの覚悟や組織の力が企業の明暗を分ける。いざ「その時」に直面したアスクル、DAZN、花王の事例から経営者に求められる資質を探る。

企業の防火対策が問われた「アスクルロジパーク(ALP)首都圏」。岩田彰一郎社長(左)はトップダウンで最大の危機を乗り越えた(写真=左:的野 弘路、右:朝日新聞社)

 あらゆる企業は不祥事や突発的な危機のリスクから逃れられない。そしてひとたび事が起きれば、経営トップの姿勢や覚悟、組織力が問われる。ここまで取り上げた事例では、多くの企業が「企業の資質」そのものに疑義が生じ、糾弾される事態に陥った。いざその時、企業はどのように対峙すべきなのか。

 一つのヒントになるのが、2月に中核物流拠点で大規模火災を起こしたアスクルだ。埼玉県三芳町の「アスクルロジパーク(ALP)首都圏」で発生した火災は鎮火まで12日を要し、近隣住民には避難勧告が出された。同社も個人向けインターネット通販事業「ロハコ」などに大きな打撃を受け、100億円超の特別損失を計上した。

 この事故は企業の大規模施設での防火対策のあり方が問われた一方、発生後のアスクルの迅速な対応や岩田彰一郎社長の行動が、“致命傷”を被る前に危機を食い止めた。今回、取材に応じた岩田社長の言葉から、何を考え、どのように行動したのかを見ていこう。