準備を尽くした記者会見で殊勝に頭を下げることは、もはやできて当たり前だ。会社が一体となり、覚悟を決めて対処しなければ、不祥事の連鎖は止まらない。反省したはずなのに何度も謝罪会見に追い込まれる「だらだら謝罪」はなぜ起こるのか。
日産自動車や日本大学に埋もれた感もあるが、2018年は企業による不祥事も相次いだ。前年から引き続いて多かったのはメーカーのデータ改ざんや検査不正だ。コミュニケーション不足で状況が把握できず、何度も失敗を繰り返す「だらだら謝罪」が目立った。
![]() 大阪府庁舎は改ざん疑惑の免震装置を設置(写真=毎日新聞社/アフロ)
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![]() KYB製品を使う東京スカイツリーは「安全宣言」を出した(写真=アフロ)
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![]() KYBの装置を採用する徳島県立中央病院(写真=毎日新聞社/アフロ)
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「一度ならまだしも次が出てくるのは勘弁してほしい。謝罪も説明もやり直し。やってられない」。大手ゼネコンのトップは取材をオフレコに切り替えるや、油圧機器メーカーのKYBに文句を言い始めた。11月15日、KYBは建物に組み込んで地震の揺れを軽減する免震・制振装置で、新たな不正行為の疑いが判明したと発表した。最初の発表から1カ月、外部調査委員会の社員への聞き取りで発覚した。KYBの装置を使うゼネコンが全国でおわび行脚を重ねる最中に、不適合品を納めた物件が増える可能性が浮上したのだ。
KYBは10月16日、03年1月から15年近くにわたって検査データを改ざんしていたことを公表した。工場作業員の「内部告発」がきっかけとなった。
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この記事はシリーズ「特集 謝罪の流儀 2018」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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