日産ゴーン元会長の逮捕劇に日大アメフト部の危険タックル。昨年から続く、自動車や素材メーカーの品質不正──。今年も経営者が頭を下げる多くの不祥事が耳目を集めた。その中で目立ったのは、教科書には載っていない「型破り」な謝罪だ。常識知らず、礼儀知らずと非難されたものばかりではない。「そこまでやるか」という驚きが、誠意と受け取られるケースもあった。ハイリスク・ハイリターンの新たな謝罪。何がその成否を分けるのか。

(寺岡 篤志、北西 厚一、奥平 力)

謝罪カレンダー2018

1月

コインチェック

運営する取引所から580億円分の仮想通貨が不正流出。関東財務局から業務改善命令を受けた

(写真=読売新聞/アフロ)

2月

川崎重工

JR西の新幹線の台車に大きな亀裂が発生。納入元である川重の製造過程でのミスが原因だった

(写真=朝日新聞社)

3月

佐川前国税庁長官

森友学園への国有地売却を指揮。交渉記録を破棄したと国会答弁したが、その後文書が見つかった

(写真=Kodansha/アフロ)

4月

ザッカーバーグ氏

フェイスブックで大量のユーザー情報が不正流出。ネクタイ姿で米議会に出席し「私の過ち」と語った

(写真=朝日新聞社)

5月

スルガ銀行

シェアハウス融資で書類を改ざんした疑いが浮上。その後、多くの不動産での不適切融資が発覚した

(写真=朝日新聞社)

6月

日立化成

ビルや工場で使う鉛蓄電池で、品質検査のデータを改ざん。不正は少なくとも7年以上続いていた

(写真=朝日新聞社)

7月

野田聖子氏

朝日新聞記者による金融庁への情報公開請求を記者懇談会で吐露。「慎重さに欠けた」と謝罪

(写真=時事)

8月

東京医科大

女子と3浪以上の入学を制限するため入試の得点を減点。文科省幹部の息子らには加点していた

(写真=日刊現代/アフロ)

9月

北海道電力

大規模地震で道内最大の発電所が停止し、295万戸が停電。謝罪とともに節電への協力を求めた

(写真=時事)

10月

西日本高速道路

2015年に男性社員が過労自殺。遺族との調停に合意し、労務管理が不適切だったことを謝罪した

(写真=時事)

11月

日テレ

バラエティー番組の企画でやらせ疑惑が浮上。「放送責任は全て日本テレビが負う」と頭を下げた

(写真=朝日新聞社)

2018年代表

日産

不適正検査など不祥事が続く中、現役会長が有価証券報告書の虚偽記載容疑で逮捕された

(写真=AFP/アフロ)

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日経ビジネス2018年12月17日号 26~27ページより目次