2017年、品質を巡って製造業の不祥事がドミノ倒しの様相を呈した。企業姿勢や隠蔽体質を疑問視されているのに、「安全性に問題はない」と謝罪会見で主張し反感を買う経営トップ。時代が求める企業倫理と、自社の論理が乖離した瞬間、社会からの企業への批判は一気に沸騰する。炎上する対応と収束につながる対応との違いはどこにあるのか。フェイクニュースやAIの暴走など、異次元のリスクが生まれつつある中、企業に求められる新たな「謝罪の流儀」を探る。
(広岡 延隆、河野 祥平、内海 真希)
1月20日
早稲田大学

文部科学省の違法な再就職あっせん受け入れに関して謝罪する鎌田薫総長(左)
2月16日
アスクル

埼玉県の物流倉庫で火災が発生。岩田彰一郎社長が地元住民などに謝罪
3月27日
てるみくらぶ

東京地裁に自己破産を申請。山田千賀子社長は11月に融資詐欺容疑で逮捕された
4月25日
商工組合中央金庫

国の制度融資で35支店816件の不正発覚。安達健祐社長は役員報酬を一部自主返納
6月12日
富士フイルムホールディングス

富士ゼロックスの海外販売子会社で不適切な会計処理。助野健児社長(右)らが謝罪
6月26日
タカタ

欠陥エアバッグの大規模リコール問題で経営が悪化し、民事再生法の適用を申請
10月2日
日産自動車

国内6工場で無資格者による完成車検査が発覚。リコールは約120万台まで膨らんだ
10月13日
神戸製鋼所

アルミ、銅などの事業で品質データを改ざん。不正な製品の納入先は525社に上る
10月27日
スバル

「無資格者が完成検査に携わる体制を30年以上やってきた」と吉永泰之社長が陳謝
11月24日
三菱マテリアル

3子会社で品質データを改ざん。その一社、三菱電線工業の村田博昭社長は引責辞任
11月28日
東レ

子会社の品質データ改ざんがネット掲示板への書き込みで発覚。世論を勘案して公表
11月26日
日本相撲協会

貴ノ岩関に暴行した横綱日馬富士関が引退。危機管理委員会は年内に最終報告へ
CONTENTS
PART 1
連鎖する不正発覚
「安全だから」は通用せず 日産、神鋼、失策の共通項
PART 2
タカタは対岸の火事ではない
謝罪のテーマは多岐に 「新常識」に寄り添えるか