今、企業が最も恐れる女性
マルグレーテ・
ベステアー Margrethe Vestager
EU(欧州連合)欧州委員会競争担当委員

text by アレックス・バーカー
フィナンシャル・タイムズ
ブリュッセル支局長
大企業の経営者は気をつけた方がいい。独禁法においては世界で最も強大な権力を持ち、その権力を進んで振るう方針のようだから。
デンマークの経済相から欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会の競争政策担当委員に転じて2年。この間、米グーグルに対し市場での支配的な立場を悪用したと警告し、米アップルには130億ユーロ(約1兆5000億円)の追徴課税を命じ、トラックメーカー数社には違法に価格を操作したとして29億ユーロ(約3300億円)というEU史上最高額の罰金を科した。
いずれもすべて独自の流儀で、優雅に、かつ鋭いユーモアをもって処理してきた。これはブリュッセル(EU本部)では稀な才能だ。
企業の行き過ぎに立ち向かうだけではない。クッキーを焼き、毛糸でゾウの人形を手編みする器用さも好んで披露する。そうした一面が母国デンマークと他のEU加盟国においても彼女をスターのような存在に押し上げている。
ベステアー氏を知るあるデンマークのジャーナリストは「エレガントで、こうした才能を持つ政治家はわずかしかいない」と評価する。
両親ともルター派の聖職者だからか、仕事にも道徳的な理屈を持ち込む。米シリコンバレーの一部の経営者には、そうした一面が見当違いの一徹さに映る。
だがデンマークの前外相であり彼女の友人でもあるマーティン・リデゴー氏は、「マルグレーテのいいところは、常に明確な答えを返すことだ。それは質問者の好む答えではないかもしれないが、必ず明確な答えが得られる」。
不思議と、子供も自然になつく人
小泉進次郎 Shinjiro Koizumi
衆院議員

text by 澤浦彰治
農業生産法人グリンリーフ
代表取締役
日本の農業の課題は土地と人です。生産性の高い農地を整備して出荷量を上げること。農業の担い手が国内に望めない今、外国人就労者受け入れを本格的に考えること。この2点を真剣にやれば、日本の農業はまだやれる。
今年2月、自民党の農業改革プロジェクトチームの会合に呼ばれたときのことです。僕の隣に座った小泉さんが、突然日本ラグビーについて話し始めました。昨年のラグビーW杯で、日本は南アフリカを破ったけれど、チームの3分の1が外国人だった。「それでも日本は熱狂した。日本人だけの力で国力を上げるのではなく、外国の力を取り込んで日本を良くしようと考える時期がきたのではないか」。僕は大いに首肯した。
一方で、今の農業改革の話は、農協改革の話になっているきらいがある。もっと本質的な話をしなければ、国力としての農業は廃れる。
小泉さんが僕らの昭和村に視察にきたとき、託児所にいた7カ月の男の子をおもむろに膝にのせ、絵本を読み始めた。不思議と子供もなついていて、自然とこういうことができる人なのだなと驚いたことを覚えている。この子らが大きくなったとき、日本の農業がもっと成長し、世界に誇れるものになっていてほしい。小泉さんには、最後のチャンスと思って「農業改革」をしてもらえると期待している。
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