40

企業DNAを継承し、新しい価値も創造
伊達美和子 Miwako Date
森トラスト社長

(写真=千倉 志野)
(写真=千倉 志野)

text by 小林喜光
三菱ケミカルホールディングス会長

 伊達さんと初めて言葉を交わしたのは5年前。彼女が仙台の被災者支援や、日本の観光産業の復興に奔走していた時期のことです。

 当時の彼女はグループのホテル会社社長になったばかりで、私の講演に「とても感動した」と話しかけてこられた。祖父・森泰吉郎さんや父・森章さんが築いた企業DNAをいかに継承し、どんな選択と集中をすべきか模索していたのでしょう。未来の社会のあり方をつかもうとする姿勢が印象的だった。

 それでいて彼女には女性らしいしなやかさやユーモアもある。ある時、私の会社で蛙を飼っていることが話題に上り、「蛙はおたまじゃくしから進化する。人も会社も進化することが重要」と話したところ、「では私はカメレオンにします。瞬時に順応したいから」と返された。思わず笑いましたが、確かに彼女の変化には目を見張ります。

 開発事業は厳しい都市間競争の中にあり、そのフロントランナーを担うのが彼女です。AI(人工知能)やIoTの進化でリアルな空間とサイバー空間の境界が曖昧になる中、IT(情報技術)を取り込みながらも、リアル空間でしか体験できない価値を創造することが求められます。

 伊達さんが、土地というリアルを基点に、様々な産業を融合する結節点を担っていかれることを期待し、ともに新しい価値を創造できる未来を楽しみにしています。

Profile
国内最大級の開発事業会社 森トラストの女性トップ
1971年生まれ。96年慶応義塾大学大学院修了、長銀総合研究所入社。万平ホテル会長、森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長などを経て2016年6月から現職。
41

「みんな、今日は大漁だよ!」
坪内知佳 Chika Tsubouchi
GHIBLI社長

(写真=阿部 卓功)
(写真=阿部 卓功)

text by 各務茂夫
東京大学教授 産学協創推進本部 イノベーション推進部長

 山口県萩市から北西へ約8kmの日本海に大島はある。船で25分ほどの距離だ。萩大島船団丸は、漁業経営の悪化を改善すべく、まき網船団の3船団がグループを結成。共同で漁業革新に取り組んできた。鮮魚を船上で箱詰めし直接販売する「鮮魚BOX」、漁師のまかないから生まれた高級干物「船上一夜干し」と「寒風一夜干し」の製造・販売は、6次産業化法の総合化事業計画に認定された。山口県の産業振興プラザの公式サイト「商稼村塾」には、萩大島の漁師たちと共に、この6次産業化を主導する達人として若き女性起業家、坪内知佳さんが紹介されている。坪内さんは松下村塾の吉田松陰ならぬ現代の革命家といってよいかもしれない。

 坪内社長との出会いは、2015年に行われた日本政策投資銀行主催の「DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」。この大会は女性起業家を顕彰するコンテストとして今や最も注目度が高い。私は初回から審査員を仰せつかっている。坪内社長は406件の応募の中から選ばれたファイナリストの一人で見事「DBJ女性起業地域みらい賞」を受賞した。

 坪内社長は萩の出身ではない。であるが故に、萩の素晴らしさに着眼できるのであり、過去に縛られることなく事業に新しい風を吹き込むことができるのであろう。同時に、ご子息にとっては萩が故郷であり、50年後にも漁師の元気がつなぐ、日本のおいしい、美しい故郷であってほしいと強く願っている。夢を追い求め、女性としての繊細さを持ちながらも、起業家としての責任感、したたかさを持ち合わせている。ますますの成功を祈っている。

Profile
山陰の古都・萩を守る漁師軍団のリーダー
1986年生まれ、福井県出身。名古屋外国語大学を中退、山口県萩市に移り住む。2011年に萩大島船団丸の設立に関わり、2012年に代表。GHIBLIとして法人化。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3080文字 / 全文文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「特集 次代を創る100人」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。