強さばかりではない。しなやかでやわらかく、毅然と―。女たちは、彼女らにしかできない方法で組織を築き、仲間を守る。一段と多様性が求められる2017年の日本社会の救世主、それが「女城主」だ。

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ネコのコウちゃん、来年はトラになる
柴咲コウ Ko Shibasaki
女優

(写真=写真=佐藤 裕信 スタイリング=柴田 圭(CLAKEN) ヘアメイク=SAKURA(Allure) 衣装=ヴィンテージベロアワンピース(Sister))
(写真=写真=佐藤 裕信 スタイリング=柴田 圭(CLAKEN) ヘアメイク=SAKURA(Allure) 衣装=ヴィンテージベロアワンピース(Sister))

text by 財前直見
女優

 吸い込まれるような目力。動物で言えば、コウちゃんは間違いなく「ネコ」。大河ドラマ「おんな城主 直虎」では、そんなネコが力強い「トラ」になります。

 14年前に共演したドラマでは、恋に恋をしている少女のような役柄でした。しかし今回は、純粋な愛を胸に秘めながら力強く生きていく女性。14年が経ち、コウちゃんの目の輝きは一層増しました。目で演じることができる、目だけで意味を持たすことができる。そんな女優になったと思います。

 私はコウちゃんの「歌声」にも魅力を感じています。初めて聞いたのは、まだ歌手としてデビューする前の打ち上げ会場。芯が通った力強いその声に、私を含むその場にいた人全員が聞き惚れていたことを覚えています。今回のドラマでは、歌のようにお経を唱えるシーンがあります。コウちゃんの素敵な歌声を聞けるのが、今からとても楽しみです。

 女優の先輩として伝えたいことは、2つ。この仕事をしていると、一度は必ず辞めてしまいたいと思う瞬間があります。でも、絶対に辞めないで。どんなに辛くても、女優を続けてください。私たちは、色んな人の人生を演じながら、そこからたくさんのことを学びます。そうして積み重なった経験が、必ず人生の糧となり救いになります。

 もう一つ。コウちゃん、ぜひ、結婚をして、母になってください。演技の幅は想像を超えるほど広がります。母になった女優、柴咲コウを見てみたいのです。

Profile
2017年大河ドラマ「おんな城主 直虎」主演女優
1981年生まれ。映画・ドラマ問わず幅広く活躍。2002年に歌手デビューも果たす。2017年NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で、主人公の井伊直虎を演じる。
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通信業界、孫さん以来のニュースター
嘉戸彩乃 Ayano Kado
LINEモバイル社長

(写真=千倉 志野)
(写真=千倉 志野)

text by 夏野 剛
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

 寡占市場で料金が高止まりする通信業界にMVNO(仮想移動体通信事業者)が多数参入し、格安スマホが活況を呈している。

 その中でも2017年に際だった存在になりそうなのがLINE(ライン)モバイルだ。

 他社が安価な通信料金を前面に打ち出す中、LINEのサービス利用時に通信料を無料にするというプランは業界を震撼させた。LINEに加えてツイッターやインスタグラム、フェイスブックの通信料も無料にするプランなど、SNS(交流サイト)世代に的を絞ったユニークな戦略で他社との差別化を図る。既に国民インフラとなったLINEの様々なサービスとのシナジーをどこまで出せるのかが今後の勝負どころ。

 社長の嘉戸彩乃さんは31歳。日本の通信会社でおそらく最年少かつ初めての女性社長だろう。おじさん化の著しい通信業界の経営者の中で異彩を放つ。外資系証券会社から転じ、ベンチャーの立ち上げに参画した後、事業会社のトップに。

 今年9月、LINEモバイルのサービス内容を発表する記者会見での落ち着いた話しぶりは、未熟さどころか事業に対する経営者としての自信をも感じさせる。

 ソフトバンクの孫さんの参入以来の通信業界のニュースターの誕生だ。ユーザーの気持ちが分かるフレッシュな社長は、競争を放棄し巨額の利益をむさぼる大手3キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の牙城に一穴を開ける可能性を秘めている。

Profile
成長著しいMVNO LINEモバイルのトップ
1985年生まれ。大学卒業後、UBS証券に入社。2012年モバイル通信のベンチャー、JTOWERの立ち上げを経て、2015年2月、LINEに入社。2016年2月から現職。