市場成熟が深まる日本。だが世界にはまだ未開拓エリアが溢れている。世界の果てまでつき進む果敢な「冒険者」たち。その動きは2017年から一段と加速する。
「泣いて、わめいて、裸になった」
ヨシダ ナギ
Nagi Yoshida
フォトグラファー

text by 小林聡美
女優
「泣いて、わめいて、裸になった」。印象的な言葉と共に、アフリカの少数民族と同じように全身を赤く塗りたくって裸になった女性の写真が載っている。その姿に惹かれて彼女の紀行本を手に取った。
実は私も、20代のはじめに中国の少数民族を訪ねるドキュメンタリー番組の撮影で、雲南省などの中国奥地で45日間、過ごした。大変な思いもしたけれど、厳しい環境の中でもみんな、それなりに楽しそうに暮らしていた。私自身、その45日間は少ない荷物で過ごせたし、モノに溢れることが幸せではないということや、蛇口をひねるとお湯の出る暮らしが当たり前ではないということを痛感した。
だから、ヨシダさんがアフリカを旅して文化のギャップで驚いたり、苦労をしたりする様子を読むたびに、若い頃の自分の経験を思い出して懐かしい気分にもなった。
ヨシダさんは、子供の頃から憧れていたアフリカ少数民族の人々と打ち解けるために、怒りを買う危険も覚悟の上で、彼ら彼女らと同じように裸になり、現地の衣装に身を包んだ。ギリギリの状況で考えたことかもしれないけれど、その作戦は見事に功を奏した。心の壁が消えた後、ヨシダさんが撮った写真からは、カメラに向かってあまり笑わないというアフリカ少数民族の人々の柔らかい表情を見ることができる。ヨシダさんを受け入れ、楽しそうに笑っている少数民族の人々の笑顔は印象的だ。
これからも、私たちが今まで見たことのない世界を撮って驚かせてほしい。
神戸とルワンダとIT
田中秀和
Hidekazu Tanaka
レックスバート・コミュニケーションズ社長

text by 久元喜造
神戸市長
最後のフロンティアと呼ばれながらも、日本にとってまだまだ未知な東アフリカ。
レックスバートを知ったのは、アフリカとつながるためのヒントを探していたときのことだった。日本のIT(情報技術)企業では初めてルワンダに現地法人を立ち上げ、日本からスマートフォンアプリの開発を現地に委託、いわゆるオフショア開発を進める田中さん。
神戸は、ルワンダから多くのICT(情報通信技術)を学ぶ留学生が集まった街でもある。ルワンダとIT分野でのビジネス交流を進めるヒントは、まさに田中さんから得られたものだ。
初めて田中さんに会ったのは、2015年9月に神戸で開催したルワンダに関するビジネスセミナー。丁寧で誠実な語り口で、「ルワンダにもっと雇用を生み出し、ITのレベルをもっと上げたい」と語られていたのが印象的だった。
今年5月のルワンダ訪問でも同行いただいた。ルワンダ・キガリ市の主催するガラディナーで、ルワンダの方々と一緒に踊ったのもいい思い出だ。
現地法人の社長を務めるアランさんにもお会いした。田中さんを尊敬し、彼との仕事をとても楽しんでいた。ぜひ、アランさんとともに会社を発展させ、ルワンダのIT業界を盛り上げてほしい。
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