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「熱狂の渦」の中心地
ジョン・ハンケ John Hanke
米ナイアンティックCEO

(写真=ロイター/アフロ)

text by 出井伸之
クオンタムリープ代表取締役 ファウンダー&CEO

 今年話題を独占したポケモンGO。人々がスマホ片手に歩き回る様子は「熱狂の渦」そのものだった。

 ポケモンGOはリリース後、わずか2週間でユーザー数が全世界5000万人に到達した。この速さは例を見ない。Facebookが5000万ユーザーを獲得するまでには1年かかった。iPodは4年。テレビが13年、ラジオは38年。この比較は確かに乱暴だ。しかしポケモンGOのブームは、世界中がコネクトされていることが証明された記念すべき出来事と言える。

 ジョン・ハンケ氏とは、遠からぬ縁があるらしい。2001年、彼はマッピング技術開発を行うKeyhole社を創業。直後、ソニーがその技術に目を付け、成長資金を出資した。この出資が注目を呼び、翌年グーグルへ事業を売却。彼自身もグーグルに加わり、グーグルマップの開発を主導していく。

 ポケモンGOへの熱狂、そこに至る原点にご縁があることは感慨深い。今後がますます楽しみだ。

Profile
世界を揺るがした「ポケモンGO」の開発者
1967年生まれ。米グーグルで「グーグルマップ」などを担当。2011年にナイアンティックを設立し、スマホゲーム「イングレス」を開発。2015年に独立し現職。
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60年前のソニー・ホンダの面影
吉野 巌 Iwao Yoshino
マイクロ波化学代表取締役社長CEO

(写真=柴田 謙司)

text by 鮫島正洋
弁護士・弁理士

 我々弁護士の仕事を含め、さまざまな仕事がAI(人工知能)やロボットに置き換わるだろう。だが決してなくならない産業もある。化学産業もそのうちの一つだ。

 日本経済が再び成長するには、日本の「将来GDP(国内総生産)」を作る新しいベンチャー企業が不可欠だ。吉野さんが率いる、AIに置き換わることのない化学ベンチャー、マイクロ波化学。同社は、将来の日本のGDPの骨格をなす可能性を秘めている。きっと60年前のソニーやホンダも、そんな存在だったはずだ。

 比較的早期にサービスを立ち上げることのできるIT業界と異なり、モノを作って売る、モノ作りビジネスの難易度は高い。

 マイクロ波を使った化学品の合成という、「モノを作るプロセス」を普及させようとしているマイクロ波化学の場合、成功に至るまでの難易度は、なおさら高くなる。玄人好みの分野なので、その優位性や将来性を、一般投資家に理解してもらいづらいという側面がある。

 いくつものハードルがあったマイクロ波化学だが、吉野さんは優れたバランス感覚で、課題を一つひとつ乗り越えてきた。そして、IPO(新規株式上場)がうかがえる場所にまでたどり着いた。同社が日本の将来GDPの骨格となることを、期待している。

Profile
化学業界最注目ベンチャーの創業者
1967年生まれ。慶応義塾大学卒業後、三井物産を経て、2007年に起業。「マイクロ波を使った化学品の合成」プロセスを提供。今、化学分野で最も注目を集めているベンチャー企業。