混乱と視界不良の次の10年を生き残るには新産業が不可欠だ。失敗を恐れず、果敢に挑戦する「技術者」たちが、それを生む。彼らのまいてきた種は、2017年にも芽吹き始める。

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人が洗濯物を畳む? それいつの時代?
阪根信一 Shinichi Sakane
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社長

(写真=的野 弘路)

text by 樋口武男
大和ハウス工業会長兼CEO

 一生で9000時間。日数にして約375日。衣類を畳み、仕分けし、棚にしまうという行為に、これだけの時間を割いているという。これをゼロにしようというのが、阪根さんが開発した「ランドロイド」。多くの人の作業負担を軽減する、大きな可能性を秘める商品だ。

 大和ハウスグループは創業100周年の2055年までに、売上高10兆円の達成を目指している。これまで建設請負を中心に成長してきたが、今後このスキームだけで10兆円を実現するのは難しい。世の中の変化に合わせ脱皮していくための一つの解として、ベンチャー企業と連携していきたい。

 出資や提携が絡むとき、私は商品と経営者がいかに魅力的か重要視する。これは大和ハウスの創業者、石橋信夫氏の精神にもつながっており、創業以来ずっと大切にしてきたことだ。阪根さんと初めて会ったのは、2015年1月頃だっただろうか。直接私と話がしたいと、東京本社の応接室まで足を運んでくれた。少し話をしてすぐに、「この人は裏切らない誠実な人物だ」と感じた。金儲けをしたい、インパクト勝負の商品を出したい、といった気持ちではなく、本当に人の役に立ちたいという信念が彼の表情に出ていたのだ。

 運は、ただ待っているだけではやってこない。アクションをとった人間にこそ、いい運は回ってくる。駆け出しのベンチャー企業も、100年続く会社も「企業は人なり」の精神は同じ。阪根さんはいい運を持っている。それが、今後彼の大きな武器となり、会社を飛躍させていくはずだ。

Profile
全自動洗濯物折り畳み機を世に出す男
1971年生まれ。2011年セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズを創業。2015年に世界初の全自動洗濯物折り畳み機を発表。2017年3月に予約販売開始を予定。
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デジタル家計簿で貯金をゲッツ!
辻 庸介 Yosuke Tsuji
マネーフォワード代表取締役CEO

(写真=竹井 俊晴)

text by ダンディ坂野
タレント

 タレントとして仕事をしていますので、企業に勤める方のように毎月同じ額の給料がもらえるわけではありません。多い月もあれば少ない月もあります。それだけにお金にはとても神経を使います。小学生と今度幼稚園になる子供がいますのでより意識が高くなっています。

 家計に関しても100%私が管理しています。もちろん日々の100円、200円を細かく追っているわけではありませんが、銀行口座や株式・投資信託残高を見る証券口座、クレジットカードの利用明細を見て、大きなお金の流れをチェックしています。

 クレジットカードは奥さんに家族カードを使ってもらっています。大きな金額で使途不明なものがあると厳しく聞きます。大体は子供の学校で必要なものですが、過去には「3万円」というのがあって聞いたら、奥さんの好きな歌手のコンサートチケット代ということもありましたので。

 収入が上下する仕事だけに、支出を正確に把握して毎月均一にすることが大事だと思っています。ただ複数の情報を一つひとつ確認するのは手間がかかります。そんな私からすると、マネーフォワードのようなお金の情報を一元管理できるサービスを作った辻さんには「ありがたい」という思いです。

 よく考えてみれば、家計簿という身近なサービスを思いつく人はいても、それを具体化するのはまた別次元の難しさがあります。知識や人脈、お金を集める力があってこそです。それを成し遂げた辻さんは一番すごい人なんだと思います。ゲッツ!

Profile
デジタル家計簿「マネーフォワード」で市場を席巻
2001年京都大学卒業。ソニー、マネックス証券を経て、2012年にマネーフォワード設立。