有史以来、様々な危機に直面してきた人類。今があるのは、「天才」たちが新たな技術や産業を作り続けてきたからだ。2017年も、ますます彼らの力が必要になる。
あっ、「デロリアン」だ!(タイムマシン機能はなし)
岩元美智彦 Michihiko Iwamoto
日本環境設計会長

text by 金井政明
良品計画会長
日本環境設計が注目を集める理由の一つに、Tシャツなどに含まれる綿をバイオ燃料にリサイクルする技術があります。私もこの技術に惚れ込んだ一人であり、無印良品が進めるリサイクルは、この技術を取り入れた彼らのリサイクル「BRINGプロジェクト」によって再生資源化されています。
ここ最近、岩元さんの活躍を耳にする機会が多くなり、ふと、彼の人となりから一つのことに気づきました。彼のビジネスセンスの優れた点として、意外性にチャレンジし続ける姿があることです。その意外性は「BRINGプロジェクト」にも表れていて、国内外の大企業が名を連ねているのは、まさに意外性を打破したからこそなしえたものだと言えます。
また、来年の夏に同社が本格始動させるポリエステルリサイクルの新技術について、彼はいつかこう話してくれました。「モノが循環する社会の形成が地下資源の使用量を減らすことで、地下資源を巡る争いを減らすことにもつながるんです」。リサイクルの拡大と資源紛争の減少に関係性があるのは意外だと感じる方も多いと思いますが、納得のいく話でした。
初めて彼に会ったその日から、もうすぐ10年が経とうとしています。意外性をビジネスとする彼の姿を、今後も頼もしい気持ちで見ていきたいですね。
願い事、何度でも祈れるよ
岡島礼奈
Lena Okajima
ALE CEO

text by 川口淳一郎
JAXA(宇宙航空研究開発機構)教授
「人工的に流れ星を作り、ビジネス展開を目指す」。そんなベンチャー、ALE(エール)を率いる岡島礼奈さんにお会いしたのは1年ほど前。JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、宇宙関連技術を利用した産業創出を常に検討、推進しているので、岡島さんのお話を伺って参考にしたいと考えたのが契機だ。
宇宙産業界では、何かに取り付かれたように、ガツガツ仕事をする人を多く見てきた。一方、岡島さんはとてもソフトな感じの経営者だ。もともとは天文学が専門。金融関係で働き、転じて宇宙ベンチャーを立ち上げた。過去にとらわれず、新しいものに転じて、取り組んでいくタイプなのだろう。
岡島さんのやろうとしていることは、技術的なハードルが高い。人工衛星から金属の粒を発射して流星を作ると聞いているが、その場合、着地点を正確に計算することは非常に難しい。「2020年、東京オリンピックで人工流星を披露したい」と言うが、うまく進んでほしいと願う半面、心配もしている。
私は常日頃、講演などさまざまな席で学生などに「三日坊主」を勧めている。2日間は頑張らなくてはいけない。だが、3日目は違う考えを取り入れなさいと話している。
だから、岡島さんにも、着手したビジネスを「投げ出さないでほしい」とまず、お伝えしたい。そして同時に「投げ出したくなったら、さっさと投げ出しなさい」ともお伝えしたいと思う。
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