始まりはツイッターのつぶやき

 8月中旬に発覚した顧客との契約トラブルを巡る一連の騒動。3カ月もたってから改めて謝罪メッセージを出さなければならないほど、同社が受けたダメージは大きかった。

 8月上旬に1500円前後だった同社の株価はわずか1カ月で600円台まで急落。時価総額は半分以下に目減りし、上のグラフのように足元でも株価は「低空飛行」が続く(同社は10月1日に1株を1.2株に分割)。販促活動の自粛や客離れの影響が大きく、11月8日に発表した2017年3月期の純利益の見通しは最高益更新という従来予想から一転、前期比31%減と下方修正した。

 始まりは8月14日の日曜日、ある男性がツイッターで投稿した1本の「つぶやき」だった。「80過ぎの独居老人である父が、PCデポに毎月1万5千円の高額サポート契約を結ばされてました。解約に行ったら契約解除料10万円を支払わされました」。

 「高額サポート契約」とは、PCデポが注力してきた会員向けのサポートサービスのこと。スマートフォンやパソコンの設定、修理・点検、通信料見直しの助言など幅広いサポートが売りで、デジタル機器の取り扱いが苦手な中高年層を中心に約40万人の会員を獲得。同社の成長をけん引してきた。

 男性の父親は、サービスの中でも高額な「プレミアムサービス ファミリーワイドプラン」(月額5500円、当時)の会員で、複数のオプションサービスにも加入していた。さらに男性は、認知症を患い、解約料として当初20万円を請求されたことなどもツイッターで明らかにしている

*=日経BP社はピーシーデポコーポレーションに対して、日経ビジネスを含む複数誌のデジタルコンテンツを提供するライセンス契約を結んでいます。ピーシーデポの会員がサポートサービスを解約した際、同社から日経BP社に解約料など金銭が支払われることはありません。

 「老人だましてエエ商売ですな」「悪徳業者も真っ青の悪徳っぷり」──。

 SNS(交流サイト)ではPCデポに対する非難の声が次々に上がり、影響は即座に表れた。週明けの15日、株価は前週の終値から約8%下がり、さらに15日以降の3日間で3割下落。その後、男性の知人のライター、ヨッピー氏が23日に詳細なやり取りや契約内容についてブログで記事を掲載。「自分も同様のトラブルに遭った」などの書き込みも相次ぎ、一気に炎上した。

 PCデポは16日にはホームページに「おわび」を掲載。17日に「使用状況にそぐわない加入者については契約解除を無償で対応」、25日には「従業員の教育、管理監督の強化」といった対応策も発表した。だが、8月中旬以降はテレビや新聞がこの問題を大々的に報道し、株価は一段と下落。その「後遺症」は現在も続く。

 炎上はなぜこれほどの猛威を振るったのか。PCデポ経営企画室室長の松尾裕子取締役は、「認識が甘かった。初めての事案に慌てふためき、気が付いた時には炎上していた」とため息をつく。詳しく見ていくと、同社が悪手を重ねていった過程が見えてくる。

 まず初動対応のまずさがある。8月16日の段階では最初の投稿から2日がたち、ネット上では既に炎上していた。だが、おわびは野島社長ではなく、管理本部長の取締役の名前で発表。「弊社のサービスに関しインターネット上をお騒がせし」との書き出しから、「ご契約者様とご家族の皆様には、ご理解・ご納得いただけるように働きかけをしてまいる所存」などと続く。

初動のまずさが株価の暴落を招いた
●ピーシーデポコーポレーションの株価と一連の出来事
初動のまずさが株価の暴落を招いた<br /> <span>●ピーシーデポコーポレーションの株価と一連の出来事</span>
注:株価は10月1日に実施した株式分割後ベース
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