企業不祥事も有名人のスキャンダルも、今年の「謝罪シーン」にはネット炎上がついて回る。個人の意見が積み重なって世論となり、巨大な竜巻のように企業に襲いかかる。その威力を見くびり初動を間違えれば、こつこつと築いた企業価値や信頼は瞬時に失われる。

三菱自動車の燃費データ不正問題に東亜建設工業の地盤改良工事の度重なる不正、電通の長時間労働問題──。
特集トップページの「謝罪カレンダー」を見ても分かるように、2016年も多くの企業不祥事が発生し、謝罪する経営陣に厳しい視線が向けられた。
企業の危機管理のあり方を考える上で忘れてはならない事例が、パソコン販売大手、ピーシーデポコーポレーション(以下PCデポ)の会員向けサービス契約を巡るトラブルだ。
問題が発生した直後の初動対応、経営トップの説明、組織体制。要所要所の対応でことごとく後手に回り、企業価値を大きく毀損した。あらゆる企業や組織、時には個人にとっても、その失敗は決して人ごとではない。
「平素からご愛顧頂いている多くのお客様や関係者の皆様にも多大なご迷惑とご心配をおかけいたしました。大変申し訳ございませんでした」
PCデポの野島隆久社長は、こう話すと神妙な表情で深々と頭を下げた。11月18日にホームページで公開した「ビデオメッセージ」の一コマだ。
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