日本の未来を見通すには、“表の経済”を見ているだけでは不十分。経済の少なからぬ部分は、国が把握できない地下経済によって支えられているからだ。元暴力団員で現在キリスト教牧師の鈴木氏は、府中刑務所で受刑者の悩みやざんげを聞く教誨師(きょうかいし)を務めるほか、「人生やりなおし道場」といった矯正施設も運営する。日本の闇の専門家が語る2018年の日本は?

裏社会を知る牧師
府中刑務所教誨師
鈴木 啓之(62歳)
(写真=稲垣 純也)

 刑務所で教誨師をしていると、日本人は本当に弱くなった、と感じます。昔の受刑者の悩みというのは、罪を犯してしまったことへの後悔でした。今は完全に他人事です。罪を犯したのは周囲の環境のせいで、自分は悪くないと言い放つ。悲しくなります。

 日本人が弱くなった原因は「恐れ」を抱かなくなったからではないでしょうか。昔は宗教を持たずとも、お天道様やご先祖様といった目に見えない存在に恐れを抱いて自然と背筋が伸びていた。それが教育が変わったからか、テクノロジーが発達したからか、次第に恐れを抱かなくなった。だから、何でもありになって簡単に犯罪に手を染めてしまうのです。