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期待されながら不発に終わる商品は、デザインにも問題がある可能性が高い。とりわけ高度にスタイリッシュなデザインは消費者の利便性を損ね、不評を買いかねない。人気デザインの定番「かわいい」も、商品によっては空回りする危険が潜む。

(写真=ロイター/アフロ)

 2013年から展開され、累計40億杯を売り上げたセブン-イレブン・ジャパンの「セブンカフェ」。店員からカップを受け取りレジ横のマシンで顧客が自分でコーヒーを抽出するサービスで、1杯100円からの手軽さもあって、カフェや缶飲料など既存のコーヒー市場を侵食する基幹商品に成長した。18年2月期の販売個数は10億杯超。そんなセブンカフェのマシンが12月から刷新される。

 ただ、機器を刷新しても「味の大きな変更はない」(広報担当者)という。今年3月に、1杯当たりの豆の使用量を約1割増量しうまみとコクを出すなど全面改良を施したばかりだからだ。では今回、変わるのは何か。最も大きく変わるのは、マシンのデザインだ。

「R」と「L」が生んだ混乱

 写真を見れば分かるように、新旧のマシンともにデザインは洗練されている。

格好いいのになぜ変更?
●セブンカフェの初代機種と最新機種のデザイン比較

 従来型も、操作盤にムダな表記はほとんどなく、「R」「L」と書かれた4つのボタンが並ぶ。赤線の下にあるボタンはホットで、青線の下にあるボタンはアイス。Rは「REGULAR(通常)」を、Lは「LARGE(大)」を意味する。

 しかし、従来型マシンのスタイリッシュなデザインは、全てのユーザーに受け入れられたわけではない。いざ蓋を開けてみると、LとRの意味を混同してしまう顧客が多く、レギュラーを買った顧客がLを押してコーヒーがあふれそうになったり、逆にラージを買った顧客がRを押してコップの途中までしか注がれなかったりといった事態が少なからず発生した。

 その結果、苦情を未然に防ごうと、導入当初からラベルプリンターで「普通サイズ」「大きいサイズ」といった表記を独自に貼り付ける店舗も登場。次ページのイラストにあるようなマシンの画像がネットで出回り、「スタイリッシュなデザインが台無し」「意識高い系デザインの敗北」などと揶揄される事態に陥った。

 「今回の改良の背景には、そうしたデザインへの反省があるはず」と話すのはあるデザイン専門家。実際、新機種では、カップを所定の位置に置けば自動的に機械がサイズを判断し、あとは開始ボタンを押すだけで抽出が始まる。「日本語表記を補う」といった応急処置と異なり、顧客が絶対間違えようのない仕様に生まれ変わった。