店にある商品を1~2時間で届ける小売店が急増中だ。支えるのはスタートアップ企業。対するアマゾンはリアル店舗を大量出店する。

サンフランシスコの中心部「ソーマ地区」にある高級食品スーパー「ホールフーズマーケット」。オーガニック食品や輸入ワインなどを目当てに高所得者が集まる店内で、1年前までは決して見かけなかったような身なりの人々を、頻繁に目にするようになった。
ヨレヨレのTシャツに履き古したジーンズ姿の中年男性、白いキャップに金色のアクセサリーを着けた黒人男性、ジャージー姿にスニーカーの女性。彼らはスマートフォンをにらみながら早足で店内を歩き回り、手に持った商品をスマートフォンで撮影しては、ショッピングカートにしまい込んでいる。
カートの中をのぞいてみると、通常の客であればレジ通過後に使用するロゴ入り紙袋が3つ、口を開けた状態で並んでいた。彼らは商品をいきなり紙袋に詰め込んでいたのだ。
彼らの正体はインスタカートという会社の「ショッパー(買い物人)」だ。同社はサンフランシスコに本社を構えるスタートアップ(新興企業)で、小売店の店頭にある商品を注文から1~2時間以内に配達する「即時配達」のサービスを全米で展開している。
ホールフーズは2014年9月にインスタカートと提携し、現在は全米15の都市圏にある182店舗で、即時配達をしている。
仕組みはこうだ。消費者はインスタカートのウェブサイトやスマホアプリから、近所のホールフーズ店舗にある商品を注文できる。注文はショッパーのスマホに届く。ショッパーはスマホに入れた専用アプリの指示に従って、商品を紙袋に詰める。

商品の入った紙袋は店内にあるインスタカートの専用カウンターで配達用ラベルが貼られ、同社の専用棚や専用冷蔵庫に一時保管される(上の写真)。レジカウンターでの精算はしない。ショッパーがスマホのカメラで商品のバーコードを撮影した時点で、精算作業は完了しているのだ。
商品を配達するのは、同社の「ドライバー(配達人)」だ。彼らのスマホにも専用アプリが導入してあり、その道案内に従って消費者の家などへ届ける。
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