店舗で顧客とつながっていた小売業がネットに本気で向き合っている。リアルの売り場をいかに生かすか。先駆者にヒントを見いだす。

丸井グループ
「在庫レス店舗」で売り場を広げる
11月19日に全館リニューアルを終えた丸井静岡店。新たに、タブレットから注文する在庫レスの「体験ストア」を設けた。下は、名古屋市のイオンモール大高に展開した移動型の体験ストア(写真=廣瀬 貴礼)

 11月19日、丸井静岡店が全館リニューアルを終え、新装オープンを迎えた。ごった返す店内。正面入り口を入り、エスカレーターで2階に上がった目の前の一等地に、婦人靴がずらりと並んでいる。2010年のデビュー以来、都心部の働く女性に絶大な人気を誇り、累計300万足以上を販売したPB(プライベートブランド)商品「ラクチンきれいシューズ」の売り場だ。

 その隣には同じく丸井グループのPBブランド「ru」の女性向けパンツ売り場がある。一見、既存店の売り場と変わらないが、決定的に違う点がある。シューズ売り場、パンツ売り場ともに、店舗には一切、在庫がないのだ。

 あらゆるサイズ・色が店頭に並んでおり、客は自由に試着のみを“体験”する。買うと決めればタブレットが待っている。その場で注文・決済を済ませると、最短2日で自宅に商品が届く。

 送料無料で、靴は返品可能。ネット通販の巨大な在庫から届けるので、客が欠品で諦めることはほぼない。大きな靴の箱を持つこともなく、手ぶらで買い物を続けられる。履きつぶしてまた同じ靴が欲しい時は、ネット通販で直接、注文すればよい。