「内容は今後詰める」というトヨタ自動車とスズキの異例の業務提携発表。なぜ公表を急いだのか。背景にあるのは創業家同士のよしみだ。

トヨタグループの始祖、豊田佐吉氏の命日である10月30日に開かれた佐吉翁顕彰祭(静岡県湖西市主催)。写真は佐吉記念館での様子。章一郎名誉会長、章男社長の両夫妻が出席した(写真=川柳 まさ裕)

 毎年10月30日、豊田佐吉の命日に静岡県湖西市で開催される「佐吉翁顕彰祭」には、どんなに多忙でもトヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎(91歳)、社長の豊田章男(60歳)の両夫妻が列席し、地元の中学校や住民と交流する。

 今年も53回目の顕彰祭が開催されたが、いつもと違う場面があった。挨拶の中で章一郎が「湖西にはスズキさんの拠点もある。モノ作りを支援してくれる方々が多くいる地域」などと、スズキに触れたのだ。「今年は両社が提携を発表したので、それを意識したのではないか」と地元関係者は言う。

 中学校での式典を終えた章一郎夫妻、章男夫妻は同じ湖西市の山口地区にある佐吉の生家(現在は豊田佐吉記念館)に場所を移し、地元自治会主催の顕彰祭に臨んだ。章一郎は「平素はご無沙汰しており申し訳なく思っています。毎年ここで皆さんにお会いできるのが楽しみです」と話した。続いて挨拶をしたのは湖西市長の三上元。同市にはスズキの工場や下請け企業もあるからか、「来年は佐吉生誕150年の記念式典が開かれる。スズキの鈴木修会長(86歳)にも来ていただく」などと語った。