食の一大トレンド変化は、関連産業に様々なビジネスチャンスももたらす。糖質制限への対応が既存のビジネスモデルに負の影響を及ぼす企業も少なくない。が、だからといって事態を静観するだけでは、「経営」とは言えない。

<b>ブランパンなどの低糖質製品(下)。売り場でも猛プッシュする</b>(写真=古立 康三)
ブランパンなどの低糖質製品(下)。売り場でも猛プッシュする(写真=古立 康三)
(写真=スタジオキャスパー)
(写真=スタジオキャスパー)

 「それまでは当たり前のように、家の近くのセブン(セブンイレブン)に行ってたけど、糖質制限を始めてから、わざわざ遠くのコンビニに行くようになった」──。糖質制限実践者の多くはこう口をそろえる。そのコンビニエンスストアとは、ローソンのことだ。

 ローソンと言えば、今年9月、ファミリーマートとサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスの経営統合により、店舗数、国内売上高ともに業界3位に転落したばかり。筆頭株主の三菱商事は危機感を抱き、ローソンの株式を買い増しして子会社化する方針を固めたが、市場では「三菱商事主導の巻き返しもどう転ぶか楽観できない」との声が少なくない。

 だが、糖質制限実践者にとってコンビニと言えば、ローソンだ。

 囲い込みの切り札は、小麦の外皮(ブラン)を材料にすることで糖質量を大幅に抑えた「ブランパン」。現時点で、大手コンビニの中で本格的に商品を展開するのはローソンしかない。「業界何位とか、そんなことはどうでもいい。ブランパンがあるかないかが全て」。ダイエット目的で糖質制限を実践する30代女性はこう話す。

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